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2017-05-20

「イルカと話したい」、その一心で。〜東海大学 海洋学部 村山ゼミ

水族館のアイドル的存在、イルカ。かつては陸上で生活していたイルカは6500万年前に再び海へ。水中で生活するようになってから、身を守るために脳を片方ずつ眠らせる(右脳が寝ている時は左脳が起きているといった半球睡眠)など、実に野生的で知能も高い生き物として進化を遂げてきた。東海大学海洋学部の村山研究室はそんな知能も高く謎めいたイルカを研究する全国有数の研究室だ。今回は、「イルカと話す」という夢を追い続けている同研究室の教授、村山司先生に、イルカの能力、そして試行錯誤する実験の日々を伺った。

東海大学海洋学部 村山ゼミ

専門はイルカの知能や社会性。全国的に見てもイルカの研究ができる大学は東海大のほか、海洋大、三重大、近畿大、日大、常磐大、帝京科学大など少数。

「海獣研究室。」(ブログ) http://murayamalab.blog.fc2.com/

村山司先生

東海大学 海洋学部 教授。専門は動物心理学、認知科学、鯨類学。
高校時代にSF映画「イルカの日」でイルカと話すシーンに感動し、「イルカとの会話」を目指し研究者への道を決意した。しかし、大学ではイルカの研究をしている研究室にめぐり会えず、平成元年よりほぼ独学で研究を始める。平成15年からシロイルカのナックと共に「イルカとの会話」に向けて本格的な研究を始め、現在もナックとの会話実験を続けている。

かつて陸上生物だったイルカは、水中の餌を求めて海へ戻ったのか、それとも地殻変動によって海に追いやられてしまったのか定かではないという。

感覚、行動、認知。イルカの潜在能力を追求する研究とは?

鴨川シーワールドのしゃべるシロイルカ「ナック」は村山研のパートナーだ。物を記号化することで単語を認識させたり、トレーナーの発音を真似させたり、単語・発音・意味を教え、イルカからも意思表示ができるような双方向のコミュニケーションを研究する。

村山司先生とゼミ生が追求しているのは、大真面目に「イルカと話すこと」。年2回、実際に水族館にいるナックに言葉を教える実験を行う。

提供:東海大村山ゼミ

「おはよう」「ぴよぴよ」「あわわわ」
ナックは発音の難しいものも鮮明に発音し、物が表す記号を選ぶテストでは異なる記号を何度も見比べて正解を選ぶ。イルカの脳は左右の半球を連結する脳梁が細く、半球間の情報交換がほぼされていない。何度も見比べるのは右目と左目で見た情報を統合するためだが、頭をフリフリさせながら懸命に選ぶ姿は好奇心の高さも感じさせる。

本格的に言葉を教え始めたのは2003年、それから村山先生と歴代ゼミ生たちが地道に研究を積み重ねてきた。「イルカと話す」という道のりの現在地点を伺うと、「単語・発音・意味」の3段階の意味を教える地点だという。イルカと話す日はそう遠くない。村山研究室の研究は、私たちに「夢をもて!」と教えてくれる[了]

東海大学 海洋学部

〒424-0902 静岡県静岡市清水区折戸3丁目20−1
http://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/marine_science_and_techno/


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