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2017-05-19

地域経済がコミュニティをつくる〜浜松学院大学 渡部ゼミ

 「いらっしゃいませ〜!」
毎週金曜日になると、浜松学院大学の正門付近からこんな声が聞こえてくる。正門をくぐれば、テント下に地元野菜や果物、お菓子などが並び、エプロン姿の学生が出迎えてくれた。浜松学院大学の地域共創学科の渡部ゼミは5年前から「HGU朝市」を開催している。野菜は地元の農協から仕入れ、お手頃価格で販売しているというゼミの活動を取材した。

浜松学院大学 渡部いづみゼミ

現代コミュニケーション学部 地域共創学科。専門は地域経済。ゼミでは日本経済新聞を用いた討論も。HGU朝市は毎週金曜日10:00〜12:15に学内で開催中。

安心・新鮮・お手頃価格。3拍子そろった、大学発の朝市

浜松駅からバスで10分、浜松学院大学周辺は住宅街であるにもかかわらず、近くにスーパーがない。昔はあったけれど、なくなってしまったようだ。だからこそ朝市には、ジャガイモ・人参・玉ねぎ・ほうれん草といった日常遣いの食材が並ぶ。

「地域のことを知り、そこで暮らす人たちの役に立つことは大学の意義の一つですから」と渡部いづみ先生。はじめは「コミュニケーション演習Ⅱ」という授業の実践としてスタートした朝市は、今年から地域経済を専門に学ぶ渡部ゼミの活動に。ゼミ生も渡部先生の思いに引っ張られるように、能動的に活動している。思うように売上が伸びないときは地域にチラシを配り、お正月やGW・お盆休み以外は、夏休みや春休みも毎週欠かさず実施することでリピーターを獲得するという徹底ぶりだ。実際に取材日もバス停を降りてすぐに「営業中」「HGU朝市」と書かれた横断幕やノボリ、看板があり、「あ、今日もやってる」と安心したものだ。

地域間交流を通して学ぶこと

「経営の勉強にもなりますし、地域のことや人を知ることができる」と教えてくれたのはゼミ長の鈴木ステラさん(地域共創学科3年)。鈴木さんは13歳のときにフィリピンから日本へ。豊かな日本でも食に困っている子どもがいることに衝撃を受けたという。そこで、朝市でも販売している地元野菜を使った料理を子どもたちに提供する「子ども食堂」(通称 HGU朝市食堂)を実施。

「『はまった』というんですかね。卒業論文も「子ども食堂」をテーマにします」。食を通した地域貢献は、朝市を起点に広がりを見せ、「もっと学んでいきたい」と意気込みを教えてくれた。
朝市に足を運ぶのは近隣に住む夫妻・お子さん連れの家族、高齢者、そして学内からは学生や教職員、取材当日は浜松学院高校の先生も。実に多世代、いや全世代。当初、多世代と関わるコミュニケーションの実践として行われたものが、今では地域経済を学ぶ場として、そして二つが重なり合い、新しい地域コミュニティが作り上げられている。

浜松学院大学渡部ゼミの活動は、「大学は地域に開かれている」ということを改めて教えてくれる。朝市は毎週金曜日10:00〜12:15。早い時は開店から30分、1時間ほどでお買い得商品はなくなってしまうほど。お早めにどうぞ!

浜松学院大学

〒432-8012 静岡県浜松市中区布橋3−2−3
https://www.hgu.ac.jp/hamagaku/


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