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2016-09-28

静岡理工科大学 | 自動車部が強い理由

9月上旬に行われた学生が一から車両を作り上げ、その走り、コスト管理、作業工程全てで競い合う全日本学生フォーミュラ大会2016。昨年までEV(電気自動車)部門3連覇を誇る静岡理工科大学自動車部は残念ながら4連覇を逃し、「過去最低順位 56位」を記録しました。自動車づくりの繊細さに迫ります。


ICV部門総合34位、EV部門総合56位

静岡理工科大学自動車部は毎年行われる全日本学生フォーミュラ大会にICV (ガソリンエンジン車)部門、EV部門の両方で出場し、EV部門では三連覇している強豪校です。全体をまとめるチームリーダーを中心に、エンジンまわりを作るパワートレイン班、タイヤの周辺やタイヤとフレームを繋ぐアームを作るサスペンション班、車両のベースとなるボディを作るフレーム班、車両の内装外装やアクセルペダルなどを手掛けるインテリアエクステリア班、エンジンの制御やモータ、電気の制御系を一手に担う電装班、そして外部との渉外活動や会計などでチームを支えるマネジメント班の全7班に分かれ、総勢37名という少人数ながら自分たちの手で車両を製作しています。

静岡理工科大学自動車部

静岡理工科大学自動車部

そんな少数精鋭の自動車部を襲ったのは「レインテスト」でした。同大会の審査は、静的審査と動的審査に分かれ行われます。静的審査はコスト、プレゼン、デザイン、という3項目があり、マシン製造や人件費などのコストや製作工程などの書類も審査対象です。学生の手で資金集めも行うため、コスト削減やスポンサー集めなど技術面以外の難しさに頭を抱える事もしばしば(ちなみに、車両製作一台につき約200万円という高額な費用がかかる)。

動的審査で走らせるマシンの肝といえるのがエンジンに取り付けられているターボチャージャーという過給機と呼ばれる部分。どのような部分かというとエンジンは空気と燃料を一緒に入れて爆発させることによる燃焼エネルギーによって車両を走らせています。過給機はこの空気を圧縮させるコンプレッサーで、圧縮させてより多くの空気を入れる事で大きな燃焼エネルギーを得る事ができます。この過給機は導入していない大学が大半のため、静岡理工科大学の走りを支えている一つのポイントとも言えます。

静岡理工科大学自動車部

静岡理工科大学自動車部

そんな過給機に強さの秘密がある理工科大ですが、コストやプレゼン、デザインは通過していたものの電気車検を思うように通過することができませんでした。コックピット内のコネクタが防水されておらず、水没したためにシャットダウン。次の審査に進むことができず、無念のリタイヤとなってしまいました。大会を終えた今、チームリーダーを務める4年生の鈴木恭介さんは、学生フォーミュラの魅力を次のように教えてくれました。

「作業が遅れている時には毎日作業したり、完成間近に部品同士が干渉するといったトラブルもあり大変な事も多いです。しかし、そのような苦労をして作ったマシンが最初に動いた時は感動ですね。自分で考えて設計した車両が実際に使われて走る、大変ですけどやりがいがあります。今年度大会の悔しさをバネに新チーム体制で来年度大会では良い成績を収めたいと思います」

もともと国内ではEV部門よりもICV部門にエントリーする大学が多かったそうです。しかし、欧米では既にEVの製作が主流。そこで、いち早くEVの製作に取り組むことで学生フォーミュラのパイオニアになるという思いから活動を始めた静岡理工科大学自動車部。創部11年目、自動車関連の企業にも名前が広まり、スポンサー企業も増えてきました。1年を通して車両を設計、改良を重ねる自動車部の挑戦に今から注目です。[了]

静岡理工科大学自動車部

静岡理工科大学自動車部

全日本学生フォーミュラ大会にEV(電気自動車)部門、ICV(ガソリンエンジン車)部門の二部門で参加し、2013年度大会からEV部門にて三連覇している。総勢37名と少数精鋭ながら歴代のOBの協力のもと車両づくりに励んでいる。近年は女子部員も入部し男子部員と共に活躍中!県内ではほかに静岡大学、静岡工科自動車大学校のチームが同大会に参加しており、走行会などでは互いに情報交換などをし、切磋琢磨している。
http://www.sist.ac.jp/club/f-sae/

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