働くわたしの静岡時代

「“光るランドマーク”をつくる仕事」アオイネオン株式会社

創業60年をこえる看板製作会社、アオイネオン。看板の製作から施工までを行うアオイネオンは製造業や建設業、広告業的な顔を持ち合わせています。しかし、実は、老朽化が懸念される世の中の看板を点検したり、ネオンの光を地域おこしに使うなど、単に看板を売るだけではありません。その理由は、ソーシャル起点の仕事の作り方にありました。これを読んだら、あなたもネオンファン!

アオイネオン株式会社

屋内外の看板、ネオン、サインボードなどの設計・製作・施工まで一貫して行う。静岡、東京、大阪、福岡に拠点があり、全国エリアで表札から屋上の広告塔まで幅広くサイン工事を請け負う。

■ 静岡本社

〒422-8076

静岡市駿河区八幡2-11-11

看板にみる、街のつくられ方

街を歩いてみれば、企業やお店の看板、交通標識など、多くの看板があります。実は世の中の看板の7割が違法または無届。管理されておらず、錆びや老朽化によって落ちてしまいそうな「危険な看板」も多いそうです。
JR静岡駅から徒歩10分ほどにあるアオイネオン株式会社は、看板作りを専門とする会社。1951年に創業し、全国の館内サインから屋外の大きな看板までを手がけています。

「理想の看板」の条件は、周囲の景観を壊さないデザインであること、そして、看板としてしっかりアピールができるということ。企画設計部の寺田大介さんによると、各自治体には屋外広告物条例や景観条例などがあり、看板の大きさや色、彩度や明度に制限があり、コーポレートカラーがそのまま使えないことがあるのだそう。

「静岡県では富士山が世界遺産に認定されたことで、近隣の自治体では条例が厳しくなりました。富士宮市の場合、白色は目立ってしまいますから、規制の対象になります。街を見てみると、白色100%の外壁の建物もないと思いますよ?若干黒色を入れて落ち着かせないといけないんです」
建造物としての構造や街並みをセットで考える、その前提条件がアオイネオンの看板づくりを支えています。

さらに、アオイネオンは看板の点検を定期的に行ったり、懐かしのネオンの技術を地域おこしに活用したり、自社の技術や捉えている社会課題を外へ発信しています。発信するツールでもあるCSRレポートはCSRジャパンサイトでランキング1位を獲得するなど、全国から注目を集めるほど。会社の看板は「看板づくり」だけではないのです。

企画設計部の寺田大介さん

作るだけじゃない「守る」仕事

看板の製作は、営業部が受注したクライアントの看板の設計やデザイン、主管庁への申請を企画設計部が行い、その図面を元に製造部が看板を製作・設置します。アオイネオンの場合、担当する案件はクライアント別。ちなみに、寺田さんは中部東海エリアを中心に携帯電話会社関連やディーラー関連の看板を多く手がけています。

特徴の一つは、排出するCO2の排出を理論上ゼロにする「C・O・S(カーボン・オフセット・サイン)」。照明に消費電力の少ないLEDを採用し、省電力化するとともに、点灯時に排出するCO2をクリーンエネルギーなどによるCO2削減事業への支援を行うことで相殺(オフセット)するというものです。6年前から取り組まれ、資生堂のストア看板など全国の企業に選ばれています。

環境への配慮はもちろん、設置後の看板を点検し、安心・安全な看板を提供することもアオイネオンの仕事です。屋外に設置されている看板は雨風にさらされ、特に看板内部の腐食は目視では発見できないケースが多いもの。アオイネオンでは「看板ドクター」として製造部が看板の劣化状況を確認し、その結果を企画設計部が分析、より適したメンテナンス計画を診断します。

「使用している素材にもよるので一概には言えませんが、看板は5年から10年くらいをサイクルに手を入れていくのが望ましいです」。そう教えてくれたのは入社以来25年近く、看板の製作に携わってきた製造部長の永野昌也さん。看板の状況にいち早く気づき、より安心・安全・適正な看板へと導くアオイネオンは、まさに看板のスペシャリストです。

製造部 部長の永野昌也さん(写真右)

CSRはビジネスとソーシャルの架け橋

アオイネオンには会社としての看板がもう一つあります。それがCSRへの取り組みです。その始まりは2003年頃、環境負荷を軽減するISO認証を取得したことがきっかけ。古くから付き合いのある取引先から、『環境のISO認証を取得しないとお仕事を出せなくなってしまう』と言われたのだそうです。

「環境や品質、労働安全、会社の倫理やコンプライアンスの整備が求められるようになって、当社としても環境のISO取得以降、マニュアルを定めていきました」と、営業部や管理部を兼ねながら、アオイネオンのCSRに取り組んできた荻野隆さん。2003年から10年近く、CSRレポート(※)を制作しています。

(※)各企業が発行する自社のCSRの取り組みをまとめたレポート。アオイネオンは毎年12月に発行している。CSRジャパンサイトでアクセス数1位を3年連続で獲得しており、全国の企業から注目を集めています。

アオイネオンのCSRにおいて、驚くべきは、事業活動を通じて社会課題を解決する取り組みの充実と継続性です。これを労務環境などを整える「守りのCSR」に対して、「攻めのCSR」と呼んでいます。

「『C・O・S』『看板ドクター』に加えて、最新のレポートにはネオンの温かい光を広める『Neon Fun』を追加しました。ネオン管製作の技術者は全国に144人。しかし、ネオンの光には美しさや楽しさ、創造力があります。最近では、千葉いすみ鉄道の鳥取震災支援列車のヘッドマークにネオンを使っていただいたり、輪を広げています」

そう教えてくれたのは、荻野さんとともにCSRレポートやCSR特設サイトの制作を行っている清水静江さんです。「みんなが幸せになるようなことはどんどん広めて行きたいです」と、根本にある思いを教えてくれました。

企画設計部の清水静江さん(左)と営業部の荻野隆さん(右)

CSRジャパンサイトアクセス数1位を獲得した際の受賞トロフィー

看板といえばアオイネオン、CSRといえばアオイネオン

いま、アオイネオンでは、CSRの芽が「社内外への浸透」として一つの実を結んでいます。会社全体の仕事環境を整える立場でもある総務部長の山田誠さんも、「CSRを中心とした社外への発信が、社内の働き方をよりよくしていく循環を生み出している」と言います。

例えば、企業や大学からCSRの取り組みについてヒアリング依頼があったり、自治体での会社の知名度が高まっていたり、社外から声をかけられる機会が増えることで、社内の課題を一つ一つ改善していこうという機運が生まれているそうです。

さらに、荻野さんによると、CSRの取り組みでは、「まさかそこにつながるの?」と思ったことがあったのだそうです。なんと、アオイネオンのネオン管技術が、「ねごと」のミュージックビデオや「BLACKPINK」の武道館ライブに使われたのです。

荻野さん:「ネオン管製作は当社独自の技術ではありません。つまり、他にも同業がいるにもかかわらず、「ネオンを作ってほしい」とお願いされる。その理由は、ただネオンを作っているのではなくて、社会課題を解決することにつなげながら作っているからです」

山田さん:「最近ではネオンはあまり見なくなりましたが、おそらく、なくなりません。ネオンの灯を絶やさないためにも、人を育てていきたいですね。今後は、ネオンや看板ドクター、CSRなど専門的な分野に集中しながら、スペシャルなものを作っていきたいですね」

自社の事業と多彩に結びつけたアオイネオンの持続可能なCSRは、徐々に従業員、そして周囲の共感を得て、確実に会社のブランドを磨き上げています[了]

総務部 部長の山田誠さん

ねごとの「DANCER IN THE HANABIRA」ミュージックビデオで使用されたネオン管イメージ図

製造部 永野昌也さん

製造部長。入社25年目。仕事を覚えるのは10年近くかかったとのこと。自らが携わった看板で印象深いものは、アサヒビールの屋上広告。「作ったのは入社したばかりの頃で、当時、静岡で一番大きなネオン塔だったかな」と永野さん。

総務部 山田 誠さん

総務部長。転職でアオイネオンに入社。今年で入社10年目。アオイネオンへ入社する前も農薬メーカーなど総務を歴任。看板の製作から施工までを行うアオイネオンは、製造業・建設業・広告業といった性格を併せ持つからこそ、総務としての面白さを一層感じているそう。

企画設計部 寺田大介さん

入社17年目。「地図に残る仕事をしたい」という思いから、関連の近い看板づくりに興味を持ち、学生時代は浜松市の専門学校で建築デザインを学ぶ。現在は、中部東海エリアを中心に携帯電話会社関連やディーラー関連の看板を多く手がけている。

営業部 荻野 隆さん

入社25年目。営業部や管理部に所属しながらも、アオイネオンのCSR史の草分け人でもある。一般業務とは評価軸の異なるCSRは、結果が出るまで続ける難しさも併せ持つ。社内からの理解や協力を得ながら、アオイネオンのCSRのビジョンを形成・浸透させてきた。

企画設計部 清水静江さん

入社5年目。企画設計部に所属しCSR業務も兼務している。CSRでの主な業務は『CSRレポート』や『CSR特設サイト』の作製・運営を行なっている。CSRを積極的に取り組む企業様との交流の中で「MUD(メディア・ユニバーサル・デザイン)を知りMUD3級の資格を取得。2016年のCSRレポートではMUDやUDフォントを取り入れ、誰もが読みやすいレポートになるよう心がけている。


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