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2019-10-10

静岡から世界中のものづくりを支える仕事

私たちの周りに溢れていて何気なく使っているもの。それをつくっている工場があり、さらにはその工場を支える機械や部品がある。今回はそんな工場のものづくりを支える仕事に就かれた先輩・市川理奈さんを取材しました。静岡県立大学国際関係学部を卒業後、駿河生産プラットフォームに就職した市川さん。普段なかなか知ることのできないものづくりを支える事務系総合職の仕事について教えていただきました。

今回取材したひと「市川理奈さん」


静岡県静岡市出身。静岡県立大学国際関係学部を卒業し、株式会社駿河生産プラットフォームへ入社し現在3年目。事務系総合職として、金型部品製造事業の在庫管理や生産調整などの業務を行なう。趣味はダンスという市川さん。平日勤務後の時間も活用し、週4日はダンスを楽しむ。今年に入りジェットスキーの免許も取得したそうです。

ものづくりの根幹を支える、製造業の事務系総合職って……?

市川さんの働く株式会社駿河生産プラットフォームは、機械部品・工具・消耗品などを販売するミスミの製造分野を担う企業だ。工場の生産ラインを支える自動化部品製造事業では、産業用ロボットの精密な動きに欠かせない部品の製造を行い、また金型部品製造事業では、主に、プレス製造と呼ばれるプレス機による金属加工に必要な関連部品と、モールド製造と呼ばれるプラスチック製品をつくる際に、溶かしたプラスチックを成形のために流し込む金型(モールド)を製造している。グループ全体の取扱商品数は800垓(1兆の800億倍!)種類にも及ぶという。
この中で、市川さんは金型部品製造事業の事務を担当。「弊社の生産拠点は海外にもあるのですが、国内外の生産現場とお客様からの受注を行うミスミとの中間地点に立って、商品を短い納期で確実にお届けできるよう調整しています」と市川さん。
事務職と聞くと関わる人も限られ淡々と仕事をこなすイメージだが、市川さんの担う業務は、受注した製品が納期に合わせて無事顧客に届くまで全体を見通す、まるでコーディネーターのような仕事。時に天候等の状況による遅れなども事前に確認し、納期に応じて輸送手段も調整するそうだ。
そしてそれだけではなく、例えば大口の受注があった際には、一気に何千という製品が動くため、常に在庫を切らさないようにストック分の発注をしておき、急な受注にも素早く対応できるための準備をするのも市川さんの仕事だと教えていただいた。

グローバルな静岡の製造業を肌で感じる職場

数々の海外工場を有する会社で、それらの工場と納期のやりとりをする市川さん。実はTOEICは900点台をマーク! もともと英語が好きで、大学でも英語力を伸ばそうと、静岡県立大学国際関係学部で学ばれたのだという。
「就活をしている頃から、やっぱり居心地の良い地元静岡に根付きながら、英語を生かした仕事がしたいと思っていました。企業のインターンシップに行く時期に、ちょうど今いる会社の説明を聞いたり、工場を見学する機会がありました。それ以前から、日本のものづくりはすごいという漠然としたイメージはあったんですけど、弊社で扱う製品のように、ミクロン単位の加工という非常に繊細な作業を経た部品があるから世界中のものづくりが成り立つと実感したんです。そしてその現場を支えられる仕事っていうのは、静岡から日本の良いところを海外に発信することにも繋がるので、そこに自分も関わりたいと思いました。」。
日々の業務の中では、国際電話で納期の確認・調整等のやり取りはもちろん、海外からの工場見学の通訳も担当されるそう。初めて仕事でやりとりした国際電話はベトナム工場で、なまりのある英語に苦戦したというエピソードも教えてくれた。
「弊社の清水本社工場は、これまで積み重ねてきた生産革新活動が認められ、2014年にGOOD FACTORY賞®︎を受賞しており、海外からの視察もあるんです。その時の通訳もするのですが、視察対応では取扱製品だけでなく、工場全体についての知識も求められるので、毎回必死です」。

製造業=技術職だけじゃないと知ってほしい

私たちが日々手に取ったり使ったりする様々な製品は、その製品を作るために必要な工場や部品があって成り立つ……当たり前なことなのに普段意識することが無かったと気づく。消費者に届く製品がきちんとつくられる、その根本を支える仕事を知り視野が広がった。製造業ってつい理系の人ばかりが行く世界だと思い込みがちだ。入社後に不安はなかったのか伺った。
「私自身も、製造業って技術関係や理系の勉強・研究経験がないとできないと思っていたんです。理系関係は本当に苦手で……。私は事務系総合職として入社したのですが、もちろん最初は不安でした。でも仕事に関わる部分は、たとえ自分に理系の知識が無くてもカタログなどから勉強して必要な知識をつけていくことはできます。ですから、これから就活をする皆さんには、文系理系は気にせずに、自分に合った仕事は必ずあると思うので、少しでも興味があったら現場で見聞きしてみて、働く場所の候補を幅広く考えてみてほしいですね」
とこれから就活する学生へのアドバイスも。
取材では、市川さんが普段使っている商品カタログも見せていただいた。分厚いページと膨大な種類の部品に驚いた。
「覚えることが非常に多いので、三年間働いてもまだまだ勉強中です。また、ものづくりの世界は専門用語も多いですから、日本語だけでなく、英語でも説明できるようにしておくことも大切です。大変ですけど、勉強することが次から次へあるからこそ、自分のできる仕事も広がっていくと思うとやりがいがあります」。
自分の強みを生かし、静岡から日本と海外をつなげ、世界中のものづくりに貢献されている市川さん。取材を通して、文系の学生にとって製造業は遠い世界という思い込みは大きく変わった。静岡が世界に誇るものづくりの最前線、もっと多くの学生に関われるチャンスがあると知って欲しい。

このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」の協賛により、掲載しております。

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