身体を動かしたい!日常を取り戻すサポート
もし、交通事故にあって骨折をしてしまったら。もし運動中に相手と接触して怪我をしてしまったら……。それでも仕事はしなきゃいけなくて、それでも体は動かしたくて。一刻も早く日常へ戻りたい!そんなもどかしさを感じたことが僕にもあります。そのサポートをするのが理学療法士。常葉大学保健医療学部理学療法学科を卒業し、静岡リウマチ整形外科リハビリ病院で働く小栗領人さんにお話を聞きました。
今回取材したひと「小栗領人さん」
静岡県伊東市出身。高校時代は陸上部で長距離の選手として活躍。大学時代の実習で来たことがきっかけで静岡リウマチ整形外科リハビリ病院に勤務することに。趣味はサーフィンとスノボ。「身体を動かすとリフレッシュしますよね」。
「少しでも早く普通の生活に戻れるように」
小栗さんの理学療法士としての仕事は、患者に合ったリハビリテーション内容の計画と実施だ。静岡リウマチ整形外科リハビリ病院に来るのは「回復期」の患者が中心で、ケガ等をしてしまってから他院での手術や治療を経て、だんだんと日常生活に戻っていく段階の患者と向き合う。勤める病院が所属する医療法人アール・アンド・オーは他にも、クリニックや訪問看護・リハビリテーション、通所リハビリテーション、在宅サービスなどを運営しており提供できるサービスも幅広いため、患者が望む姿を実現するためにどんな治療・リハビリ・サービスが最適かを見極めるのも小栗さんの仕事だという。
「例えば、足の怪我をされて、痛みを伴っているから歩行器がないと歩けない、という方が器具なしでも歩けるようになるために歩行練習や関節の可動域を広げるための可動域訓練等を行います。他にも『家屋調査』といって、患者さまが退院後に快適に安全に日常生活が送れるかどうか、家の中に障害がないか、改修が必要なのかを実際に患者様の家まで行って調べたりするんですよ」と小栗さん。
「身体が動かせない悔しさを知っているからこそ」
そもそも小栗さんが理学療法士を目指そうと考えたのは高校生の頃。陸上部で長距離の選手だった小栗さんは、大会前に腰のけがをしてしまい、懸命に治療をしましたがベストコンディションとは到底思えない状態での競技参加になってしまったそうです。
「イメージするように走りたいのに、思うように身体を動かせない悔しさがすごくありました。今も怪我で運動をしたくてもできない方々の気持ちはよくわかります。だからこそ、そのサポートができたらと思いました」
仕事で一番やりがいを感じる瞬間は? と聞くと、やはり担当する患者が身体を動かせるようになった時と答えてくれました。「最初は靴を履くことも難しかった患者さんが、リハビリを通して歩けるまでになり、退院された時はすごくうれしかったです」と小栗さん。逆に人の怪我と向き合う大変さを感じるのは、患者が希望する期間で退院させられなかったこと。足の骨折で入院したある患者は、家庭の家事を担っていることもあり、2か月以内の退院を希望していた。「早く退院できるように一生懸命リハビリに臨みましたが、どうしても希望の期限には間に合いませんでした。もちろん治療が不十分な状態での退院をさせるわけにもいきませんから、非常にもどかしく、今までで一番自分の力不足を感じた経験でした」
「理学療法士として、さらなる進歩を」
小栗さんの今の目標は、もっと勉強してリハビリテーションに関する知識を増やすことだという。「理学療法士は、資格を取って勤める病院が決まったら終わり、ではなく働きながらも勉強して、できる治療を増やしていかなければなりません。また、現在の職場の中でという視点ではなくて、どの病院に行ったとしてもやっていけるように、と思っています」
同じように理学療法士を目指す学生へのアドバイスも伺いました。「大学の理学療法士を目指す課程では実習が多くあると思うのですが、そのひとつひとつに真摯に向き合うことがやはり大事です。正直、実習そのものよりも、そのあとに提出するレポートに気が行ってしまいがちだと思います。それでも目の前の患者さまにどう対応するか、真剣に考えながら実習をするよう心がけていました。それが今、実際に働く中で本当に役に立っていると感じています」
怪我はしないに越したことは無いけど、それでも怪我をしてしまうことはある。そんなときに「まだまだ良くできる」と思う小栗さんのような理学療法士の方が診てくれるなら、とても心強いはずです。患者の日常生活との橋渡し、「回復期」の治療を支える現場の仕事の奥深さを感じました。
今回取材したひと「小栗領人さん」
静岡県伊東市出身。高校時代は陸上部で長距離の選手として活躍。大学時代の実習で来たことがきっかけで静岡リウマチ整形外科リハビリ病院に勤務することに。趣味はサーフィンとスノボ。「身体を動かすとリフレッシュしますよね」。
このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」の協賛により、掲載しております。