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2019-03-20

おもしろい場所は自分で作ればいい 〜静岡ではたらくある卒業生の肖像

静岡県立大学を卒業後に東京で就職、現在は静岡市内の住宅会社で働きながら
自身でシェアハウスを経営する先輩がいる。先輩の名前は鈴木駿也さん。
静岡高校に通う現役高校生が聞いた、静岡で働き生きていくことの可能性。


右:鈴木駿也さん  左:(聞き手)石川桐子さん・静岡高校2年生

鈴木さんは静岡県立大学出身で、現在は住宅会社で働きながら、ご自身でもシェアハウスも経営するパラレルキャリア(※)を歩んでいます。静岡に帰ってくる前は、東京のイベント会社でガンガン働いていたそうですが、東京で就職して静岡にUターンで帰ってくるまでにどのような経緯があったんですか?

鈴木 僕は学生時代に自分で会社をやりたいと思って、最初は静岡でイベントの企画制作会社を起業しました。学生一人で立ち上げましたっていっても誰も仕事をくれなくて。ゼミの先生とかに相談していってそのつながりで出会ったのが、東京のイベントの企画制作会社の社長さん。その方に「よかったら修行に来てみる?」って誘っていただいて、インターンとして修行に行きました。それでそのままその会社に就職をして、三年間働いて結婚を機に静岡に帰ってきました。
東京でそのまま結婚生活を送ることもできたと思うんですが、なぜ?

鈴木 イベント会社ってハード中のハードで、結婚生活を考えた時に、無理だなってわかったんです。奥さんの実家も静岡にありましたし。ゆくゆくは帰ろうかなとずっと思ってたんですけど、いいタイミングだと思ったんで。

学生時代に起業した会社と東京で就職した会社は、どちらもイベント会社ですよね。何かこだわりがあったんですか?

鈴木 大学三年の就活が始まる前に自分がどういうことをやりたいか自己分析をやってみたんですよ。それでわかったのは、小学生の時からイベントが大好きだったんですよね。中学では生徒会長で全校イベント作ったり、高校では応援団で体育祭の軍団長やったりして。それから、何のために仕事するかを考えたら、僕は学生が好きでした。だから学生を少しでもハッピーにしたかった。自分も学生だったんですけど、学生時代に東京でも静岡でもいろんな学生に会って。東京では起業してる学生なんていっぱいいましたし、結構カルチャーショックで。静岡と比較したときに、環境の差で、これだけが違うんだとか。どうしたら自分の力でちょっとでも学生も大学もプラスに環境を変えられるかって考えたら、僕ができるのはイベントだと。


鈴木さんがプロデュースするホステル。白で統一された清潔でおしゃれな空間だ

確かに自分が何をやれるか、やりたいと思っているのかって、過去の自分の行動の中にあるものですよね。石川さんは今高校二年生ですけど、そういうことを考えることってありますか?

石川 学校で進路希望調査を取るときはメディア関係に行きたいなって思っていて。けど明確にやりたいってことがまだ決まってないので、ちょっと探し中です。

鈴木 僕は仕事っていう手段を考える前に目的のところを考えました。そしたら自分は「人をつなげておもしろくする」というのが、ずっと軸足なんですよね。それでいろんな手段に切り替えていくっていうのが自分のスタイルなんじゃないかなと。それはメディアでもなんでもいいでしょうし。東京で入社した会社は、「イベントには社会を変える力がある」っていうコーポレートメッセージを持っていたんですね。なのでイベントに何かしら社会的意義があるものにしか携わらない。社会を少しでもプラスに転換する手段としてイベントをやっている会社だったので。その社会を良くするっていう目的が、僕の場合は特に「人をつなげておもしろくする」ことだったんです。

静岡県にも外国の方が増えて、一地方都市という枠組みで閉じていられなくなってきました。そうした中で駅前で鈴木さんが運営されているCO-YAのような場があるというのは、それだけで「外部の存在を受け入れて交流を楽しもう」というメッセージになっているように思います。最後にひとつ質問。今、鈴木さんが高校生の年齢に戻れたらどんな進路を選択しますか?

 

//「静岡つまんないじゃん」
それを聞いて悔しくなって//

 

鈴木 うーん、あの頃に戻ったとしたら県立大に行かず東京に行ってるかもしれないですね。もともと東京に出たい想いがあったので。ただ、静岡に帰ると決めたときに、周りからはわりと止められました。「もったいない」「静岡つまんないじゃん」とか。それを聞いてちょっと悔しくなって。確かに今つまらないかもしれないけど、いいとこだし、つまらないって言われないように、何かできないかなって思ったんですよね。静岡に帰ってきて、東京でつまんないって言った人たちを見返したいというか、静岡に来させてやるぐらいの気持ちになりました。実際CO-YAに東京時代の友達とか仕事仲間とかちょいちょい来るんですよ。だから若干成功しました(笑)。僕の周りの静岡の人は自分のやりたいことを情熱を持ってやってる人が多いですよ。そういう人たちと話をしてるうちにその輪も広がっていって、面白い人同士で繋がれるんです。面白い人って自分が面白くいないと興味を示してくれないんですよね。こうやって石川さんのような高校生と話しても面白いと思ってもらえるような引き出しを持っておくために、常にアンテナを高く持って挑戦し続けていかないとなって思います。

鈴木駿矢さん
静岡県立大学経営情報学部卒後、東京のイベント会社に就職。大規模音楽フェス運営等を経験。結婚を機に静岡県にUターン。静岡市内の住宅会社に勤務しながら自身でシェアハウスを経営しパラレルキャリアを実践。

◉鈴木駿也さんの過去記事「静岡を面白くするために若者の挑戦をサポートしたい」
http://shizuokajidai.or.jp/2018/06/hataraku_630sszk/

鈴木さんがプロデュースする静岡のあたらしいホステル&バーラウンジ「CO-YA」
https://co-ya.jp

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