「愛車と同じように、愛されるお店をつくる仕事」静岡ではたらく先輩の肖像
今回取材した先輩「鈴木絵里加さん」
静岡県浜松市出身。静岡英和学院大学卒業後、静岡トヨペット株式会社に入社。浜北店のフロアコンシェルジュとして働く。
お店の司令塔として
FC(フロアコンシェルジュ)の仕事は、点検などに来られたお客様の受付、電話応対、また各種保険や重量税などの書類作成、お客様への呈茶、さらには店内のポップ作りやイベントの企画・進行など多岐にわたります。電話応対や点検受付をしたあと、各担当者へつなぎ、行う業務を指示するという仕事は特に重要な業務。「ここがしっかりしないと店舗が回っていきません。だからこそFCは司令塔なのだと就職説明会で先輩がおっしゃっていて、その言葉に感銘を受け、この仕事だ! と思い就職試験を受けました」と鈴木さん。今は社会人一年目、いわゆる「新人」の期間ですが、その間は「シスター」と呼ばれる先輩社員と二人一組で業務を行い、仕事の内容や段取りを学んでいきます。シスターとは月一で行われる本社での研修も一緒に参加して、入社後一年経った四月に行われる「新人卒業式」まで一緒に仕事をするそうです。
他にも、鈴木さんの勤める静岡トヨペット浜北店ではお客様に提供するドリンクのうち、月一で変わる「限定ドリンク」があるそうなのですが、それを考えることもFCの仕事です。静岡トヨペットの全店舗統一で毎月変わるおもてなしのお菓子に合わせ、夏は炭酸系にしてみたり、ゆず羊羹の月は、お茶のラインナップを増やしてみたりと、味の組み合わせやお客様の好みを想像しながら試行錯誤して決めているそうです。
「えっ、トヨタ⁉ 車売るの?」と周囲に驚かれた就職
学生時代は特に車に興味があったわけでもなく、何かになりたいという明確な目標が無かったという鈴木さん。就活の時期には様々な就職説明会に行っていましたが、なかなか自分が合いそうな会社や職種が見つからず苦労したそうです。「もともと人と接するのが好きで、接客業には興味がありました。そんな中、複数の会社が集まる就職説明会で、ふと自動車業界の会社説明を受けたら、全然考えてなかった業界でしたが、もしかしたら良いかもしれないと思い始めたんです。そこから一通り、車のディーラーを中心に関連する会社の説明会に行ってみました。そんな中でも静岡トヨペットに決めたのは、この会社のアットホームさに惹かれたからです。静岡トヨペットの会社説明会では、お菓子も自由に食べてね! という感じで、受付の方がすごく優しくて。そういう会社の雰囲気が決め手でしたね。印象に残っているのが、会社説明会で「新人卒業式」のVTRを観た時、一緒に観ていた従業員の方が涙を流していたんですね。『なんか思い出しちゃって』って。温かい会社なんだなと感動しました。そこからはすぐ就職試験に申し込み、最終面接まで行って、無事内定をいただきました。家族や友達からは『えっトヨタ⁉ 車に興味なかったじゃん』って驚かれましたけどね(笑)」。
静岡トヨペット浜北店では、入口すぐでFCが受付をしているため、お客様と最初にお会いするFCがお店の第一印象を決めると言っても過言ではありません。より良い接客をするための土台に欠かせないのは鈴木さんの話してくれた温かい職場の雰囲気なのかもしれません。
また、ディーラーの事務職は、一般的にはお客様と接する機会は点検受付くらいですが、静岡トヨペットではイベントなどでお客様と接する機会がたくさんあるそうです。その点にも惹かれたと鈴木さんは話してくれました。イベントも季節やターゲットに合わせて企画を考えるそうで、十二月にはアイシングクッキー作りの講座などを企画されたそうです。車以外のきっかけでもお客様に来ていただけるきっかけをつくろうと奮闘されています。
広がった世界、先輩へのあこがれ
多様な業務をこなすFCの仕事。もともと車に詳しいわけではなかったので、お客様からの車についての質問にうまく答えられないことも。「入社後に車両に関する知識の研修もありましたが、自分はまだまだ。少し前にも実は仕事の中で大きいミスをしてしまって……。これまでの人生に無いくらい落ち込んだ時期がありました。でも、それは私がミスをしたという、自分自身の問題なんですよね。職場環境には本当に満足しているので、他の業界や職種で働く友達の職場や仕事の悩みを聞いていると、私の場合、失敗は反省すべきですが、自分の悩みは案外小さくて、改めて恵まれているんだなと感じました」。
お店に来られるお客様やそのお子様に覚えてもらえること、「久しぶり」や「また来るね」といった言葉をかけていただいたときが特にうれしい瞬間だそうです。また浜北店は鈴木さんの地元でもあるので、働いていると、自分が通っていた小学校の先生がお店に来られることもあったりして、それも地元就職の醍醐味だと仰っていました。
鈴木さんのシスターは入社して三年目の方で、周りからは「スーパーFC」と呼ばれるほど仕事ができる方だそうです。いつかはシスターのように一人でも店舗が回せるようになるくらい成長したいと、楽しそうに語ってくれました。
このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」の協賛により、掲載しております。