Vターンで静岡県に

近年人口減少が叫ばれ続けている静岡。大学進学を機に地元を離れ、卒業後もその土地に定着する若者や、はじめから県外での就職を考えている学生は少なくありません。一方で、生まれ育った地域での就職を望む学生や、地方で自分のやりたい仕事を見つける人もいます。今回は、岩手県出身で、東京の電気通信大学を卒業し、現在は浜松市にある三栄ハイテックス株式会社で働いている冨田麻利子さんをインタビュー。いわゆるVターンをした冨田さんが会社を決めた経緯や、浜松での生活をどのように感じているかを伺いました。

今回取材したひと「冨田麻利子さん」

岩手県大船渡市出身。電気通信大学を卒業後、浜松市にある三栄ハイテックス株式会社に入社。電子楽器に組み込むソフトウェアの開発を担当している。休日は、ピアノやヴァイオリンを弾いたり、ゲームをしたり、ジムに通ったりして気分転換している。

 

物理的な面から音楽に近づきたい!

大学では、電波や電子回路、プログラミングなどソフトウェアに関する事柄を学んだという冨田さん。電磁波を扱う研究室に入り、EMC(電磁環境両立性)についての理解を深め、電磁波によって機器の誤動作が引き起こるのを防ぐ研究をしていたそうです。

元々造詣が深かったのは音楽で、幼い頃にピアノとバレエを習い、中学・高校では吹奏楽部に所属。理系科目は苦手だったそうですが、大好きな音楽を演奏するに留まらず、物理的に学んでみたいと思ったことがきっかけで、電気通信大学への進学を決めたといいます。

大学でもオーケストラ部に所属し、学業の傍ら音楽活動を継続。規模が大きめの演奏会を年に二回行う部活で部長を務めたことで、問題解決能力や判断力を培ったといいます。壁にぶつかった時でも、思考を止めることなく突破しようとする姿勢は、社会人になってからも様々な場面で活きていると感じるそうです。

 

楽器の音を作る仕事

冨田さんが勤めている三栄ハイテックス株式会社は、LSI(大規模集積回路)の設計と、ソフトウェアの開発を事業の二本柱としている企業です。当初は楽器絡みの半導体を設計していたそうですが、現在では楽器に限らず幅広い製品を扱っています。その中で、冨田さんは電子楽器に組み込むソフトウェアの開発を担当しています。

楽器を企画する人たちの要望を受けて、ソフトウェアを開発しますが、思い通りに実現するのが難しかったり、妥協しなければなれなかったりすることも多いといいます。
「『こういう機能を提供したいんです』っていう要望に対して、いつでも潔く『できます!』って答えられないところが辛いですね。提案された機能の素晴らしさが分かっているからこそ、その要望を100%叶えられないことがもどかしくて」
そういった悩ましさを会社に持ち帰り、先輩と話し合って良策を見出せた時に、達成感が得られるそうです。

最初は「音楽が好き」という自身の内面しか掘り下げていなかったという冨田さんですが、仕事をする中で、自分の仕事が社会や他者に及ぼす影響を意識するようになったといいます。誰かの役に立ちたい、誰かの幸せを作りたいという想いが芽生えたと心境の変化を教えてくれました。
「開発に携わった製品が、誰かに使われている場面を目にする機会はけっこうあります。自分の幸せが、他者の幸せに直結する仕事に従事できていることに、ありがたさを感じますね」

仕事でも、大学での勉強でも、ソフトウェアを専門にしてきた冨田さんの現在の目標は、ハードウェアの知識も身に付け、仕事に役立てていくことだそうです。

 

音楽の街、浜松での就職

岩手県出身で、東京の大学に通っていた冨田さんが、縁遠い浜松で就職を決めたのには何か理由があったのでしょうか。
「漠然と楽器の仕事がしたいなって思っていた時に、偶然この会社を見つけたんです。面接で『すごく楽器好きなんですけど』みたいな話をしたら、『じゃあうちで楽器やればいいよ』って社長が言ってくれて。確固とした動機はなかったのですが、何となく相性の良さを感じて今の会社を選びました」
浜松が音楽産業の盛んな街だという認識はあったものの、それが取り立てて決め手になったわけではなかったようです。勤務地にはこだわらず、自分の望む仕事ができそうな会社で働きたいという信念を貫いた結果、今に至るといいます。

「土日に駅前に行くと必ず何かしら演奏が始まっていて、ふらっと聴きに行けるところが良いです。さすが音楽の街だなって思いますね。あと、スタジオが充実しているし、欲しい楽譜をすぐに手に入れることもできる。楽器を続けるには絶好の環境だと感じています」
また田舎過ぎず、都会過ぎない街の雰囲気も気に入っているといいます。特に思い入れもなく、偶々暮らすことになったという浜松ですが、生活する中で土地の良さを実感することが多々あるそうです。

物足りなさを感じて、県外での就職・生活を希望する人も多いのではないでしょうか。たしかに、都心にあって、静岡にないものはたくさんあります。でも実際に働いてみたら、気が付かなかった良さを見つけたり、案外静岡での生活を魅力的に感じたりすることがあるかもしれません。今回、ゆかりのなかった浜松で活躍されている冨田さんのお話をきいて、県内出身の私は少し誇らしい気持ちになり、地元での就職を前向きに考えたいと思いました。

 

今回取材したひと「冨田麻利子さん」

岩手県大船渡市出身。電気通信大学を卒業後、浜松市にある三栄ハイテックス株式会社に入社。電子楽器に組み込むソフトウェアの開発を担当している。休日は、ピアノやヴァイオリンを弾いたり、ゲームをしたり、ジムに通ったりして気分転換している。

このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」の協賛により、掲載しております。

2018年04月24日 | Posted in 働くわたしの静岡時代 | タグ: No Comments » 

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