働くわたしの静岡時代

公務員という選択肢。学びを生かせる職場を選ぶ

みなさんは公務員として働くということをどんなイメージで捉えていますか? 正直に言って、今も「公務員=安定」というフレーズは学生の間でも耳に入ります。そんなイメージが先行していながらも、実のところ、私たちは具体的な公務員としての仕事や働く人の「仕事に就いた動機」を詳しく知らないことも多いです。今回は東海大学海洋学部出身で静岡市役所職員として働く安藤一輝さんにインタビュー。静岡市を目指したきっかけや詳しい仕事の内容、やりがいについて聞きました。

安藤一輝さん

長野県長野市生まれ。東海大学海洋学部を卒業後、静岡市に入庁。現在は同市経済局商工部産業政策課企画係。長野県から来た時には、やはり富士山に感動したという安藤さん、「まだ見るだけに留まっている富士山に、次は登ってみたいです」。

きっかけは研究室、見つけた新たな可能性

現在入庁2年目の安藤さんが市役所職員を志したのは大学4年生のころ。東海大学海洋学部で海底の地質や海流について学ぶ研究室に所属しており、一見関係がなさそうでしたが、当時から清水地区の海洋産業クラスター創造事業に関連し、静岡市役所の職員の方が研究室を訪れているのを目にしていました。

「就職を考える3年生の時点では、自分はものづくりが好きなこともあり製造業を志望していました。でも大学に出入りする市職員の姿を見て、自分の学んできたことや母校との繋がりを持ちつつ仕事ができる環境が静岡市役所にはあると気が付きました」と安藤さん。

しかし公務員を目指す人の多くが試験勉強を大学3年生から始めるところ、安藤さんは4年生になってからのスタート。絶対的な遅れがあるという自覚からの猛勉強により、見事希望した就職を実現させました。

社会人2年目、経営者と向き合う仕事

現在安藤さんは、静岡市経済局商工部産業政策課という、市の産業活性を担う部署の企画係で働いています。主な業務は市内中小企業の支援や相談業務など。具体的には、商工会議所や商工会、地元企業との関係構築をしたり、企業からの事業や融資の窓口対応を行ったりしています。他にも市の産業の向上に寄与した職人の表彰事業や、これらに関連した事務作業も行います。担当する仕事の中で、特に産業界での関係構築や相談業務には気遣いが欠かせない。中でも補助金や新規事業についての相談対応では、相手先が中小企業が多く、安藤さんに直接声を寄せる人が経営者であることが珍しくない。

一方で安藤さん自身が入庁2年目ということもあり、経験も不十分で、未熟なところが多く、企業側としても「きっと自分のような若僧じゃ頼りがいがないよな」と感じてしまうという。もちろん相談業務は安藤さんひとりで完結させるものではなく、経営等の専門家に繋いだりする仕事ではあるが、企業側が最初にコンタクトを取る窓口であるため、この葛藤は避けられないものだ。

「会社経営の経験はもちろんですが、そもそも市職員・社会人としても2年目で、相談対応には年齢の壁や、立場の差に戸惑うこともあります。でも、だからといって自分の年齢や経験を急に増すこともできないので、今はとにかく誠心誠意の対応をしようと心がけています。少しずつですが、外部の方と信頼関係を築くという経験がこの年齢できるというのはありがたいことだと思いますね」

他にも安藤さんは、商工会議所や商工会が主催するセミナー等に出向いて、今後つながりを持つ可能性のある企業や団体との関係構築も意識的に行なっているという。

「あの時、あのセミナーでもお会いしましたね、という話題は顔を覚えてもらうきっかけにもなりますし、何より自分から外に出て行くことで得られる信頼もあると感じていて。デスクワーク中心の市職員のイメージってまだ根強いなと感じることがあります。だからこそ自分は若いうちから体を動かして、その印象を変えていく一端を担えたらとも思っています」
目の前の担当業務に加え、市役所職員の一人としても、自分の仕事のあるべき姿を安藤さんは自分で見つけて築こうとしていました。

地域も仕事も照らす向きを変えてみたら……?

安藤さんが所属する産業政策課は、商工部、さらには経済局の中の「筆頭課」といわれる立場で、特に情報が入ってきやすく、局部内で中心となる課だという。日々課に寄せられる情報を確認し、もっとも適当と思われる部署に振り分ける仕事も安藤さんがご担当。そもそも入職庁2年目で筆頭課に配属されることが珍しく、他部署にまたがる情報対応もこなすことは難しい。安藤さん曰く「課だけでなく部局全体の動きを把握していないと難しい仕事」であり、2年目の自身にはスピード感が足りないと分析されていました。

でもその反面、大変な経験もチャンスだと安藤さんは捉えていて、筆頭課で働くことや、そこに集まる情報を先頭に立って振り分ける仕事を通じて、先頭に立ち全体を引っ張る仕事の面白さにも気づいたと話してくれました。
というのも、実は安藤さん、学生時代はなるべく目立たないように1人で物事を進めようとするタイプだったそうで、様々な関係性の中で先導する仕事の醍醐味や、周囲へ相談しながら物事を進めることの大切さは、社会人生活を通して得た大きな発見だったといいます。

安藤さんに、今の職業・仕事をこなす上で最も大事なことを伺うと、ここまでの仕事の話を踏まえて、「自分で考える力」という答えが返って来た。
「市役所内にいると、『静岡市は人口が減少する一方で、まちの活気も失われつつある。情報発信力も弱い。』など、市の現状に直面する立場でいるからこそダメなところばかりに目がいきがち。もちろん課題に向き合うことは大切なのですが、県外から来ている自分としては、『静岡市の強み・魅力はもっとたくさんあるのに!』と思っているので、正直もったいない気持ちにもなります。県外出身者ならではの自分の観点も持ちつつ、それがいつか仕事に反映できるように、これからも目の前の仕事に向き合っていきたいですね」

出身地である長野県から大学進学で静岡市にやってきて、静岡市の良いところにたくさん気づいてきたという安藤さん。自分で考え自分の意思ある若い市の職員がいる、これもひとつの地域の魅力になるはず。もっと地元の内から「静岡っていいな」が広まるように、安藤さんのこれからのお仕事にも注目です。

安藤一輝

長野県長野市生まれ。東海大学海洋学部を卒業後、静岡市に入庁。現在は同市経済局商工部産業政策課企画係。長野県から来た時には、やはり富士山に感動したという安藤さん、「まだ見るだけに留まっている富士山に、次は登ってみたいです」。

このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を
受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」(http://www.cocplus.shizuoka.ac.jp/)の協賛により、
掲載しております。


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