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2018-03-25

静岡生まれ、静岡育ち、静岡で働く女性プログラマー

真剣な眼差しで、巧みにパソコンを操作するプログラマー・・・・・・と聞いてあなたが思い浮かべたのは、もしかしたら眼鏡をかけた真面目そうな男性かもしれません。しかし、それはステレオタイプ。メカニズムを扱う業界で活躍しているのは男性だけではありません。今回は沼津高専を卒業し、島田市に本社を構える株式会社テクノサイトで、プログラマーとして働いている秋山絵梨さんにインタビュー。現在の職業に至るまでの経緯や、仕事にかける想いを伺いました。

今回取材したひと「秋山 絵梨さん」

静岡県富士市出身。沼津工業高等専門学校制御情報工学科を卒業後、株式会社テクノサイトに入社。開発部の制御システムグループに所属し、ソフトウェア開発に携わっている。幼少期から、かわいいものよりかっこいいものが好きな女の子だったそう。

決め手となったのは、大好きなパソコン

パソコン好きなお父さんの影響を受け、自身もパソコンを好きになったという秋山さん。沼津高専への進学を考えた動機も「パソコンを触りたかったから」。普通の高校と違い、5年間通う学校のため、それなりの覚悟が必要だったそうですが、パソコン好きに揺らぎはなく、意志を固めて高専に進みました。

秋山さんが進んだ制御情報工学科では、主に情報工学やシステム・制御工学を学ぶ学科で、プログラミングを用いて、ソフトを作ったそうです。その上、はんだ付けで基板にチップを乗せたり、工作機械を扱ったりと、パソコン操作に限らず様々な体験をすることができたといいます。

「高専で幅広く学べたことにより、自分の視野も広がりました。学校で得た知識が仕事に就いてから活かされていると実感することもたくさんあります。パソコンが好きというだけで、なんとなく選んでしまったところもあるけれど、結果としては沼津高専に行ってよかったなと思っています」

思いやりをもって書くプログラム

卒業後、仕事でもパソコンと関わることを望んでいた秋山さんは、株式会社テクノサイトに就職しました。「多様な分野の業務を行っていて、新しいことに挑戦できそうな会社だと感じたことから、就職を決めました」と秋山さん。テクノサイトは、情報システム構築コンサルティング、PCソフト開発、インターネットビジネス、おもちゃの企画から生産・・・・・・と多岐にわたる事業を展開している企業です。

現在、秋山さんが所属しているのは開発部のなかにある制御システムグループ。ビルや工場の空調・冷凍機器の制御システムの開発などに関与する部署です。秋山さんは、主にエアコンや照明の管理装置に組み込むソフトウェアの開発や、スマートフォンで照明を遠隔から操作できるアプリケーションの開発に携わっています。機械系の制御とパソコン系のアプリケーションの両方を扱うこの部署では、多角的な技術や知識が求められており、秋山さんの他にも、沼津高専の卒業生が多く活躍されているそうです。

就職して、今年で6年目を迎える秋山さんは、入社当初から現在に至るまでに心境の変化が起こったと話してくれました。

「最初は自分さえ分かればいいと思って、他の人が読むことを想定せずにプログラムを書いていました。でも、バージョンアップの際などに、別の人が読むかもしれないということを考え出したら、このままではいけないと思うようになりました。今は、後から誰が見返しても分かりやすいプログラムを作るよう心懸けています」

結果を重視し、自分なりのやり方で課題をこなすという、学生時代には許されていたことが社会では通用せず、苦労する新入社員も多いといいます。秋山さんはプログラムの作成に関わらず、仕事全般において、独り善がりにならないように気をつけるようになったそうです。

裏方、支えてるぞ

幼い頃から好きだったパソコン。就職後もその気持ちは変わらず、楽しんでお仕事をされているという秋山さん。
「自分が書いた通りにプログラムが機能してくれたり、プログラムに不具合が生じた場合に、原因を突き止めて修正できたりした時が特に楽しいです」

プログラムはいつも思った通りに動いてくれるとは限りません。小さなものに搭載するものでも、覚えきれないほどの情報量をもっていることがあり、不具合のもとを探るのに一苦労することも。しかし、「上手くいくまでの試行錯誤もおもしろいです。逆に一発で都合良くいってしまうと、手応えがないというか、ほんとに?ってなっちゃう」という言葉のとおり、成功に至るまでの骨折りをも秋山さんは楽しんでいるようでした。

そんな秋山さんに、思い出に残っている出来事を伺いました。
「開発に関わった製品の記事が新聞に載っているのを見た時、とても嬉しかったです。例えばおもちゃの製品開発をしている方だったら、お店とかに行って、これ自分が作ったんだよって言えますよね。でも私が作っているものは、直接個人の人の手元に届いたり、目に見えて売らたりするものではないから、あまり知ってもらう機会がない。だから仕事の成果が少しでも露出すると嬉しいんです」

たしかに、ビルや工場といった大きな建物にある空調機器が、何らかのシステムによって制御されたり管理されたりしているのだろうという見当はつきます。でも、それが実際にどういったものなのかはよく分からないし、普段からそういったシステムのことを意識しながら建物を使用する人はあまりいないでしょう。しかし、そうした外観からは認識できない仕組みのお陰で、私たちは快適な生活を送れているのです。

「目立たないけれど、欠かせないものを作っている。自分は裏方を支えているんだという誇りをもって仕事をしています」と秋山さんは言います。

素人の頭ではなかなか追いつかない世界でしたが、お話を聞きながら、目に見えないところで私たちの生活を支えてくれている仕事がたくさんあるんだなと、つくづく感じました。同時に、顧客が思い描いている、言葉では表現し尽くせないような機能・製品を、プログラムを書くことによって具現化していくプログラマーというお仕事の難しさを知りました。そんな多くの人の生活・仕事に関わる大変な仕事に対しても、きっと秋山さんは「大好きなパソコン」という相棒と共に、これからも楽しそうに向き合っていくんだろうなと勝手に想像してしまいました。

今回取材したひと「秋山 絵梨さん」

静岡県富士市出身。沼津工業高等専門学校制御情報工学科を卒業後、株式会社テクノサイトに入社。開発部の制御システムグループに所属し、ソフトウェア開発に携わっている。幼少期から、かわいいものよりかっこいいものが好きな女の子だったそう。

このページは、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の採択を受けた「静大発”ふじのくに”創生プラン」(http://www.cocplus.shizuoka.ac.jp/)の協賛により、掲載しております。


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