大久保あかね先生に訊く、「身軽な旅の味わい方」

人生の中でも大きな旅の最中ともいえる大学生活。大人になる準備期間の今のうちに、好奇心だけで行動している自分から、もう少しだけ考えられる自分になりたい! これからの旅のかたちからヒントを探る。

[文:大村ゆり子(常葉大学外国語学部3年)/写真:増田純一(常葉大学外国語学部4年)]

大久保 あかね先生

日本大学短期大学部ビジネス教養学科。じゃらんの熱海を担当をしている。今年度から常葉大学から日本大学に着任。生徒との関わりを大切にしており、三島で定期的にゼミ生とホタル鑑賞会を開いているそう。

学生は、子どもから大人になるいい期間

ーーまず、「旅」と「旅行」の二つの言葉の違いとはなんでしょうか?

最近、雑誌などで「旅」や「旅行」が取り上げられる中で、私たちはこの二つの単語を自然に使い分けていると思います。気軽な気持ちでエンターテイメントを求めて出かける事ことは「旅行」。一方、なにかを追及するためや学ぶために外に出ることは「旅」のカテゴリーに該当すると思いますね。

ーー今後情報化が進むなかで、ガイドブックやインターネットの情報をつまみ食いして気軽に出かける「インスタントな旅」が進行すると思います。それは好奇心だけでちゃんとした計画なしに行動に移す大学生の姿に似ているの思ったのですが、どう思いますか?

私はインスタントな旅、大歓迎です。情報のつまみ食いができるっていうことは情報収集力があるということだし、思ったことを行動に移せる行動力も備えているということです。それに、これからどんどん情報が溢れていけば、それだけで満足してしまってインスタントな旅さえもしないっていう選択肢もありますからね。その土地の匂いとか触感とか風の感じとか実際に歩いてみないとわからないから、どれだけ情報化が進んでも現地に足を運んだこととの差は歴然だと思います。

それでもノーアイデアよりは歴史的な背景などの予備知識を持って見る方がずっと印象的に映ると思いますけどね。ピラミッドを見に行って、すげ〜でっけ〜で終わるのはもったいないもんね。旅って、時間もお金も使ってすることだから、結局は「楽しい」と思えることが一番大切だと私は思います

ーー確かに、きっかけはインスタントでもいいのかもしれません。本誌二限のインタビューでもそうですが、周りから見れば破天荒な旅をする人は多いように感じます。もしかしたらそれも自分探しの一環なのかなと感じました。「旅」が自分探しの手段になるのはなぜでしょうか?

刺激を求めて違う環境に出てみて、自分を客観視することは旅の一つの肝ですからね。非日常である旅に飛び込んで、自分が悩んでいたことを俯瞰してみるのは新しい答えを発見しやすい環境ではあると思います。

ーー私は並行して進める器用さがないのに、とにかく経験したいことに飛び込んで後悔することが多いです。「やらない後悔よりやった後悔」とはよく聞きますがやはり失敗や挫折を繰り返すのは怖いと思ってしまいます。

大学生の四年間のとらえ方にもよると思います。この期間をとにかく挑戦して、たくさん迷惑をかけて反省をしてやり直せる期間だと思えば、失敗することは正解です。学生って、子供から大人になるすごくいい期間だと思います。自分探しといってあれこれ考えているだけでは自分は見つからないし、まず一歩踏み出して行動できるかっていうのが重要で、実はすごく大きなハードルだと思います。考えていることを言葉にして、行動に移すというのは本当に勇気のいることだからね。自分の中でその時にプラスになる事を考えて、選択してあえてやるってことは、素晴らしい決断だと思う。

でも一つ勘違いしてはいけないのは「やりたいから挑戦する」のであって、「挑戦しなければいけないからやる」のではないということ。「やりたいからやる」ことって、より自分にとって身に付くチャンスだと思います。

私も大学時代に色々なことに挑戦しましたよ。大学では剣道部だったのですが、体育会事務局び委員長として、近畿地区の大学体育会連合会にも参加していました。そのほか、学生寮の寮長や、大学祭の実行委員など、大学内外の様々な活動に挑戦していました。卒業後は、一般企業に入社して、広告の営業や制作の仕事をしていました。大学院に入学したのは、34歳です。その頃は熱海でじゃらんの仕事を始めていました。「観光」について学ぶ必要性を感じていたころに立教大学に観光学部が設立され、大学院で社会人を募集していたのを見つけたんです。大学院生になってからは、じゃらんの仕事をしながら、熱海市や三島市などから観光関連の委員会にも声をかけていただくようになりました。今はビビットに口コミが返ってくる時代なのでやりがいも出てきましたね。

きっかけはインスタントな旅でもいい。まずは一歩を踏み出せるかどうか

ーー先生もすごく積極的に挑戦するタイプなのですね。でも、それだけ多くの責任を担って手に負えなくなったことはないのですか?

もちろんありますよ。全部自分でやろうと思ったら、やりたいこともできなくなっちゃうし、迷惑もかけちゃうから、タイミングを見つけて周りの人に助けてもらっていました。人に仕事を上手く分担してやってもらったりしてね。人に勧めて、巻き込んで、続けていってもらうという手段もあることを忘れないでほしいかな。失敗しないようにしよう、効率よくやろうと思いながら動くと段々と行動が小さくなってしまうのでは? 何も間違わず上手くやっていくのって、すごく細い道だと思うよ。自分に全部フィードバックしようと思わなくても良くて、自分が経験したことから得た発見を周りの誰かに還元することが大事。そうすれば自分の中で整理もできるようになるし、経験の価値も一気に増すと思います。

ーー他の誰かに還元させたいと思っても、私は失敗さえも楽観的に考えすぎて、暗い面を見ようとしない性格なので、得るべき教訓を得られていないように思います……。

プラスの面で学んだことをマイナスの時に生かせばいいのではないかな。同時にいろんなことを学べなくとも、一つの事を学べれば十分。大学生のうちは楽観的で構わないと思います。気になったことにとりあえず挑戦して、失敗して、一段ずつ成長すればいい。旅も同じで、入り口は誰しもインスタントな旅から入るものだけど、そこから自分の中でどう深めるのか、自分の経験をまた別の経験に置き換えたときに活かせそうなポイントを抜き出していくことが大切なのだと思います。

私は一度きりの勝負の旅行なんて新婚旅行くらいしかないと思うんです。旅って、自らの自由な思想や楽しみを求めて好きなように組み立てていくもので、前の経験をどんどん次の機会に反映させていくものだから、失敗しても構わないと思います。何よりまず一歩を踏み出せるかどうかが、価値のある経験を生み出すきっかけになるんじゃないかな。[了]

大久保先生の推薦図書

その幸運は偶然ではないんです!
ダイヤモンド社出版/J・D・クランボルツ博士

自分の将来や未来に悩みを抱えながらも、自ら道を切り開いていった四五人の人生ケースから、心理学者・キャリアカウンセラーが次々と読み解いていく。自分探しは内面ばかりで考えるものではなく、フラットな気持ちで行動することが描かれ、人生のヒントが書き込まれている。大学生のうちに読んでおくべき一冊のひとつ。


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