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恋愛相談by学術〜彼にもらった「思い出の品」処理法を知りたい!

波多野 純 先生

静岡英和学院大学 人間社会学部人間社会学科 教授。社会心理学と産業・組織心理学が専門。人が他人のことを人間だと感じなくなる「非人間化」という現象を研究しており、大学生のキャリア意識の形成に関心を持っている。ちなみに、先生自身はどちらかというと思い出の品をぽいっと処理する( 捨てる) 方とのこと。

1年交際していた彼氏と別れました。ただ、記念日にもらった腕時計を純粋に「使える」という理由で使っていたところ、「未練あるの?」と友人に聞かれうんざり。「思い出の品」処理方法を知りたいです。
(YK・女・静岡英和学院大学4年)

◆ 答.

処理方法の分岐点は、「ただのモノ」と感じられるかどうかです。

そもそも人はなぜモノをあげたくなるのか。
心理学では、等しい価値のモノを交換することで人間関係や集団同士の関係が維持されると考えられています。例えば、お歳暮をあげるときに「ほんの気持ちですが」と言うじゃないですか。それって気持ちだけをあげることはできないから、何かしらモノの形を取らざるを得ないという理由があるんだと思います。

質問者さんは「思い出の品を処理したい」とのことだけど、処理方法は「捨てる」「譲る」「売る」「しまっておく」「破る」「燃やす」「返す」「使う」など、ざっと考えただけでもこれだけあります。どんな選択をするかは交際期間や交際の質、思い出の品、別れた理由など、モノとの関係性が関連してきます。常に一貫した処理の方法はありません。ちなみに、「使う」は「捨てる」と真逆の処理に見えますが、モノや相手に対する感情の切れ方は同じです。もはやただのモノになっている。

一番たちが悪いのは「返す」ですね。ただのモノにもならないし、思い出の品にもならない、宙に浮いた処理になります。しかも相手に対して攻撃的な感じもする。恋人から貰ったものは、「すごく大事なもの」か「ゴミ」かの両極端です。
結局は、モノに対してどんな意味を付与しているかです。それによってモノは独特の価値を持ちます。僕の専門の社会心理学の研究でアニミズム的思考との人形供養の関係を調べた研究があります。アニミズムとは無生物に対して生命の存在を感じる現象のことです。人形供養をする人は、「人形をゴミとして捨てるのは可哀相」という理由で供養しています。これと恋愛における「共に時間を過ごした相手(またはモノ)だから捨てられない」と感じるのは似ています。分岐点はただのモノと感じられるかどうかです。

万能かつ汎用の方法はありませんが、その都度、状況にあわせて、最もストレスのない方法を選択するといいのかもしれません。[了]


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