「ぼくたちはどうして恋をしてしまうの?・3」静岡時代編集部が考える「恋愛って何?」
静岡時代が調べました〜大学生150人の「恋愛」にまつわるエトセトラ
交際経験はある? はい77% いいえ23%
恋愛と結婚は別? はい57% いいえ43%
告白したい? したい34% されたい66%
性格or見た目 性格79% 見た目21%
生活に恋は必要だ はい61% いいえ39%
先生からお聞きしたたくさんのお話、静岡時代が読者に行ったアンケートから……
結局ぼくたちは恋愛を通してどこへ行こうとしているのか。ごはん食べながら考えた
写真左:増山あかね(静大人文社会)/ 中央:増田純一(常葉大外国語・静岡時代49号編集長)/ 右:司会・赤堀彩絵子(英和大人間)
例えば、双子みたいに全部わかりあえる関係っていうのは強い絆だと思うけど、恋愛っていうのとは違うんじゃないかな。むしろ恋愛という関係は単純に違う背景を生きてきた二人の間で生じるものなのかなと。男女っていうだけで身体的にそもそも違うし、まあここはLGBTの問題とかもあるけど、そういう部分も含めてやっぱり何らかが「違う」二人が出会って始まるものだと思います。
増山「ゼミでね。先生が学生たちに、君らは結婚できる年齢なのに、なんで結婚しないの。今、君ら付き合っている人がいて、すごい好きだったら結婚してもいいじゃん。結婚したいと思わないの? って問いかけられて、私たちは、すごい答えられないわけですよ」
増田「俺はまだ、好きになって付き合うことと結婚を別枠で捉えてるかな」
増山「うん、今の人と好きだけど別に結婚したいわけじゃないかも、って言ってる子を知ってるし。一方、私は結婚しない恋愛は意味があるのか、っていうのを今すごく考えてしまって……」
増田「まあ、本当に結婚したいって思ったら別れないだろうからね。別れる恋愛、彼氏彼女とかは結局、ただその時甘えたいとか見栄とか、暇つぶしじゃないかって。俺は恋愛にまず甘えたいって部分を求めちゃうんだけどさ」
結婚しない恋愛は意味ないんじゃないかって話だね。恋愛から何を得るか、か。
増山「でもさ、本気で好きだった人もいるけど……。結局、後付けなのか。好きは」
増田「永山先生のお話だね。恋愛は脳の反応の一種だから」
増山「泣くから悲しいのか、悲しいから泣くのか」
増田「泣くから悲しい」
今回アンケートで調べた限りでは結婚と恋愛は別って答えてる人が五七%。で、交際経験があるのが七七%、高いね。
増山「ちょっとそういう方向に敏感な人に調査対象がふれちゃったかもしれないけど。まあ、肌実感でなんだかんだでみんな付き合ってたりするように思う」
増田「それより恋愛のはじまりは告白されたいって奴が六六%いて、これは納得。俺含め受け身だもんみんな」
増山「話変わるけど、増田さんはオーストラリアに留学してたじゃないですか。留学行く前に付き合ってた人と付き合ってた期間は後悔してないですか?」
増田「後悔は、しない。反省はするよ。けど、その反省を活かせられたら、それはプラスになる」
投資になるなってことだよね。
増山「笹原先生が、面倒臭いとかコスパが悪いって言う人も増えてるけど、やっぱり恋愛を失敗して学ぶこともあるし、自分ってこういう人なんだなって知ることもあるし。それをコスパが悪いとか無駄だって言っちゃうのは悲しいよねっておっしゃってたのが印象的だったな」
増田「俺、これから恋愛しないんじゃないかな。違うな、語弊があるな」
増山「恋愛できない?」
増田「うん、そっちじゃないかな。恋愛することによってやりたいことができなくなったらストレスだもん。例えば俺、いま静岡時代の編集長やってるのも大変だしストレスになってるけど、学ぶことも多い。だからできてるって思うから」
増山「増田さんは脳内で費用と便益を天秤にかけてるんですよ。恋愛することによって割かれるお金と時間と、嫉妬・寂しさみたいな精神的苦痛が費用で、高揚感とか知らなかった自分とか相手の笑顔とか恋愛によって得られるものが便益。人間はできることに限りがあるから判断にはなんらかのトレードオフが必ずある」
口挟んでもいい? 増田さんはじゃあ、彼女からそれ以上の学びのある時間が作れるんだったら?
増田「いやだから、それを求めていないんだって俺は。言ったじゃん、俺は甘えたいって。暇つぶしの恋愛じゃん」
なるほどね。でもこれでさ、女の子と一年付き合ったとするじゃん。で別れたとするじゃん、そしたら今とは別の答えが出てるのかなって思う。
増田「出てるんじゃない? 出てなかったらそこに意味はないよね」
その時、彼女はどんな意味を得てるんだろう。最初に増山さんが言ってた「結婚しない恋愛に意味があるのか」もそうだけど、恋愛を通してなにかを得なければ済まないような雰囲気を感じるんだよね。でも、自分は相手に何を差し出せているのか。仮に恋愛が取り引きだとしても、どちらかがまず何かを差し出さなければ取り引きってはじまらないのに、「欲しい」がとにかく最初に来てる感じ。
増田「確かに、そうだな……」
増山「なんで恋愛しちゃうのか。それは頭がおかしいからだよ」
増田「というと?」
増山「こんだけ研究して論理がわかってる先生でも結局恋愛して結婚するじゃん。てことは、みんな論理を超えて感情で生きてるかわからないけど、論理を忘れざるを得ないくらい頭がおかしくなってるから恋愛する。たぶん、そういうのを本能って言うんだよ。永山先生の脳の反応の話じゃないけど理性とかで制御できないように自動的に頭をおかしくする仕組みがわたしたちにはあって。それで自分を無理やり変化させるんじゃない? だから今の自分から見たら恋愛は危険だし損なんだけど、思いがけず得ることもある。だからもういいよ、子供つくろうぜ!」
増田「いきなり作らなくてもいいと思うけど(笑)。話変わるけど、どっかで聞いた、宇宙船になぜ飛行士が乗るかって話を思い出したよ。宇宙船は自動化されてるから実は飛行士がいなくも飛べる。でも予想外の事態に陥って硬直した時なんかには蛮勇を発揮できる人の意思が必要で、そのために飛行士がいるっていう。違う存在や世界と触れ合うことで硬直を回避するのが俺らの本質だとしたら、いわゆる恋愛は自分の中の抑圧された蛮勇を開放するスイッチなんじゃないかって。だとしたらなんかわかるな。いい悪いではなくて、それで俺らは変身できる」
お、うまくまとまった!
【訪れた場所】常葉大学「トコ・カフェ」
草薙キャンパスに新設され、学食とは思えないオシャレな料理ばかり。学生だけでなく地域の方々も訪れる常葉自慢のカフェ。
ぜひ行ってみて!
赤堀彩絵子・文(静岡英和学院大学人間社会学部3年)/ 澤口翔斗・写真(静岡大学人文社会科学部2年)