働く私の静岡時代

『もう一品ほしいな』に応える食卓の提案|働く私の静岡時代

「もう一品ほしいな〜♪」。軽快な音楽に合わせて外国の方が踊るのが印象的なヤマザキのCM。榛原郡吉田町にある株式会社ヤマザキは、創業127年を迎える総合惣菜メーカーです。惣菜業は、共働きや単身世帯が増えていく中でニーズも高まっている業界。同時に競争も高まる中で、ヤマザキは毎日工場で出汁を抽出、会社の農地から新鮮野菜を調達、化学調味料もほとんど使っていません。「家庭の味」を追求している。と言うのは、マーケット戦略部に所属する天野和佳子さん(写真)。手間を惜しまない仕事ぶりの原点とは? 天野さんに伺いました。

株式会社ヤマザキ

〒421-0305
静岡県榛原郡吉田町大幡1643-1
http://yamazaki-grp.com/index.php

料理を商品にする仕事

ヤマザキの創業は明治23年、創業地は水産加工業が盛んだった清水区蒲原。当時の仕事内容は、清水港で獲れた魚などを鰹節や干物に加工して、山梨県へ運ぶというもの。以来、静岡県の総合惣菜メーカーとして煮豆や惣菜類の製造を行っています。大事にしていることは「家庭料理の豊富なメニューを再現する」ということ。釜や調理方法にこだわった煮豆は、まるで、おばあちゃんが家でコトコト炊いた煮豆のよう。

「働く女性や単身世帯が増え、ますます料理をすることが難しくなっていく時代の中で、食を社会分業で支えたい」。「もう一品ほしいな〜♪」のCMでおなじみの真空パウチのお惣菜は、まさにヤマザキの理念を形にした商品。ポテトサラダやきんぴらごぼうなど、冷蔵庫に備え置きしておけば30日ほど日持ちし、必要なときに食卓に加えることができます。

しかし、すでに調理された料理を食卓に並べることは、どこか「後ろめたさ」を感じてしまうという方が多いのも現状です。社会的なニーズや伸びしろがあるにも関わらず、世のお母さんたちが感じてしまう「後ろめたさ」を緩和させることは難しいことでした。だからこそ、「お母さんが家庭でつくるような本当においしい料理」をとことん追求するヤマザキの商品設計は手間を惜しみません。

「素の味」を追求するこだわり製法

県内随一の惣菜メーカーの製法は、スーパーの担当者さんから「ヤマザキさんって本当にこだわるよね」と評価をいただくほどです。例えば、出汁はメニューごとに適した配合で毎日工場で抽出。原料となる野菜は他県から仕入れることもありますが、地元の契約農家や自社農場から採れたての野菜を泥つきでごっそり工場へ運び入れます。仕入れや選別など動かされることでストレスにより劣化してしまうのを防ぐためです。

「うちは加工メーカーなので、傷や大きさにより捨てられてしまう原料も買い取ることができます。自然でおいしいものを、最小限の選別で使えるというのはものすごいメリットのあることなんですよ」、そう教えてくれたのはマーケット戦略部に所属する天野和佳子さん。静岡大学情報学部を卒業後、2014年にヤマザキに入社。天野さん自身も入社後、そのこだわりに驚いたそうです。

「もう一品シリーズ」に代表される真空パウチのお惣菜に力を入れ始めたのは25年ほど前。真空パウチはその名のとおり、袋内の酸素を追い出すことで酸化させずに日持ちさせる技術ですが、高温殺菌のレトルト食品とは違うのは「低温殺菌」であること。レトルト食品に比べて賞味期限はおよそ1か月と短いですが、低温殺菌である分、野菜の素材感を再現できるのです。

マーケット戦略部の天野和佳子さん(写真:右)

老舗メーカーのマーケティング

天野さんが所属するマーケット戦略課は、主に営業支援の資料づくりや広報を行っています。老舗メーカーの意外な一面ですが、会社が急成長していく中で社内の仕事を分業しつつ広報に力を入れようと4年前につくられた比較的新しい部署だそうです。

「弊社は原料から加工まで本当にこだわって作っていますが、それがお客様にうまくアピールできていないことが課題です。ホームページも商品ごとの違いがよりわかりやすくなるようにリニューアルしているところです」と天野さん。

例えば、去年11月に発売された「おかずの極みシリーズ」は、その他の真空パウチのシリーズと袋形態も同じで、商品ラインナップもほぼ同じです。実は、真空パウチのシリーズは真空にして、わずかな隙間を埋めるための調味液を入れるのに対し、おかずの極みシリーズはものを劣化させない気体(不活性ガス)である窒素を入れます。そうすることで、料理のつくりたての美味しさを極限まで再現できます。

「いかに商品を作るか、いかに商品を棚に並べるか。開発部や営業部はつい商品の世界に入り込んでしまうことがあります。私たちの仕事はそうした内部の思いとお客様の間に立ち、両者をつなげることです」。内側へのマーケティング、つまり企業理念の社内浸透も大事な仕事だそうです。

ヤマザキが考える「強く・面白い企業」の条件

ヤマザキは真空パウチのお惣菜はもちろん、従来のパックのお惣菜づくりも大切にしています。例えば、「野菜がもっとも美味しい旬の時期に食べてもらいたい」と新たに商品開発をするとき、キーになるのがパックのお惣菜。「もう1品シリーズ」のような真空パウチのお惣菜の開発は、長いものだと半年以上の時間がかかってしまうためです。

パックのお惣菜は機械化できない繊細な調理工程があるため、調理の仕方を工夫しやすく、チャレンジがしやすい分野です。惣菜メーカーとして季節感や時代の流れにそった新しい食卓の提案をしてくために、この2軸を持っていることがそのまま企業の強み・面白さにつながっていきます。

「ぶれない理念を持ちながらも新しいことにチャレンジする会社に入社できてよかったです」と笑顔で話してくれた天野さんはもうすぐ一人暮らしをはじめるそうです。「天野さん自身はお料理はされるんですか?」と聞くと、学生時代から実家暮らしで、本当に料理しなかったようで、入社後、料理を作るようになったそうです。

「やっぱり自分が作り方を知らない料理を広められない、と思って。作ってみて料理や、これまで学生時代ずっとお弁当をつくってくれていた母の大変さを実感しましたね。だからこそ、こういう商品が役に立てばいいと思います」[了]


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