アラウンドしずおか

静岡の巨匠を訪ねて〜「桜湯」番台 小長井 正さん

県内外、あるいは海をこえて静岡の土地に学び集まっている大学生へ、街の巨匠から一つの問いとメッセージを紹介する企画、「静岡の巨匠を訪ねて」。今回は、明治11年に創業した老舗銭湯「桜湯」の小長井正さんのもとを訪れました。

【取材・文/田代奈都江(静岡大学)】

「桜湯」

明治11年創業。外観も内観もレトロな銭湯マニアにはたまらない雰囲気。足を踏み入れればお客さん同士で和気あいあいと過ごせる優しい空間が広がる。

昭和にタイムスリップしたみたい

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昔ながらの銭湯が残る理由

静岡市に現在2か所しかない公衆浴場のひとつ、桜湯。静岡市葵区の静かな商店街の町並みに溶け込んだ昔ながらの佇まいと、どこか懐かしいのれんが、なんともレトロな雰囲気だ。のれんをくぐると今ではなかなか見ることのできない番台で、店主の小長井さんが迎えてくれる。

現在、お風呂は家庭に備わっているのが一般的で、加えてテーマパークのような家族で楽しめるお風呂や、癒しを求める人が行くスパも増えてきた。昔栄えた商店街がシャッターを閉めている様子も最近よく見るようになってしまった。個人商店のやりくりが難しくなった今、大学生はどのような魅力を個人商店に見出すのか、大型店と共存していくためのヒントを聞いてみたいと語る小長井さん。大学生の目に個人商店はどのように映っているのだろうか(田代奈都江)


Q.個人商店に足を運びたくなる理由はなんですか?


時代とともに変わりゆく町並みの中で、静かに変わらない姿で佇む公衆浴場の番台、小長井正さんに、町における銭湯の役割について教えてもらいました。

時代とともに変わりゆく町並みの中で、静かに変わらない姿で佇む公衆浴場の番台、小長井正さんに、
町における銭湯の役割について教えてもらいました。

かつて銭湯は町の中心地。当たり前の風景を残し続けたい

桜湯の創業は明治11年にさかのぼります。実は始まった当初は食堂として営業していて、銭湯を始めたきっかけは戦争によって浴場が焼き払われ深刻な風呂不足になったことでした。市から委託されて急きょ始めることになったのです。昔は銭湯が町内ごとに必ず一つはあって、ほとんどの人がそこへ通ったため、銭湯は町の中心のような存在でした。銭湯を中心に床屋やそば屋などが出来ていき、町の復興に重要な役割を果たしていたと思います。それくらい人々の生活に銭湯は不可欠な存在だったのです。

今の大学生で銭湯に入った経験のある人はなかなかいないでしょう。実際に、今利用してくれているお客さんのほとんどは中高年の方です。銭湯は番台を抜けてすぐ脱衣場があるスタイルで、男湯と女湯がきっぱり分かれていません。フロント形式に慣れた若い人はそこに戸惑いを感じるのかもしれませんね。しかし、そんな人と人の距離が近い空間だからこそ、お客さんは同じような生活を送る仲間と世間話に花を咲かせに銭湯に来る。番台にいると新聞を読まなくても政治の問題から芸能界のスキャンダルまで分かってしまうくらいなんですよ。銭湯はそこに来る事自体が地域の人々にとってまたとない社交場になっているのかもしれません。そんな当たり前のような空間をこれからも守っていきたいと思います。

(「桜湯」番台 小長井 正さん より)

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桜湯(静岡市葵区駒形通)

静岡駅から徒歩15分。営業時間14:00~24:00。火曜定休。入浴料は大人400円。

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この記事は静岡時代44号「混浴都市、静岡。」に掲載されています。
「温泉」から眺めた新しい静岡学。大学生のうちに行きたい静岡温泉マップ付き! 県内のすべての大学・一部の高校にて配布・設置しています。


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